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左から

ZONE-B (Graphic designed by HIGH JUMPER)

★792mmの超ロング・スケールを採用しながら、ブリッジの位置をボディー・エンド側に移動させることで、左手がロー・ポジションに届きやすいよう設計されている。当機はヘルメットや車などのペイントで知られる、HIGH JUMPERこと増永修治氏がグラフィック・デザインを担当。

YELLOW DEVIL

(MAROON CUSTOM 666) PABLO Signature model

★2020年2月2日に行なわれた“BLARE FEST.2020”でのPay money To my Pain復活ライヴでPABLOが使用したモデルで、10本のみの限定生産。仕様や価格は右ページの試奏レポートを参照。

d-fly : CJ5

★d-flyの5弦ベース。3バンドEQやアクティヴ/パッシヴ切り替え、300Hzと480Hzを選択できるミッド・フリケンシー・スイッチなど、多彩なコントロールを搭載することで柔軟に音作りを行なうことが可能だ。(価格:オープン・プライス/市場想定税別価格¥268,000)

メイン試奏モデル:YELLOW DEVIL (MAROON CUSTOM 666)

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衍龍(RAZOR)による試奏インプレッション

 ちょうど自分のモデルを作りたいと思っていた時に、ドラゴンフライを知り合いから紹介してもらったんです。自分のバンドはチューニングをドロップA♯にしているんで、出したいズンズン系のサウンドに666mmスケールがピッタリ合っていたのも良かったですね。それに“MAROON”のボディー・シェイプがすごく好きで、絶妙なところで肘にフィットすると思います。

 自分の“MAROON CUSTOM 666”はけっこうローに厚みがある感じなんですが、今回試奏した“YELLOW DEVIL(MAROON CUSTOM 666)”は、比べるとクリアなサウンドですね。上がちゃんと出て、立ち上がりがストレートだと思います。ブリッジ・ミュートした時の気持ち良さもあって、重低音というよりは中音域に寄っているのが好みですね。僕らのバンドでは左右をリフの存在感で埋めなければいけないので、そこが欠けてしまうと嫌なんですよ。あと、ネックがすごく弾きやすいです。自分は指がけっこう短いので、幅広タイプだとけっこう辛くて。でもこのネックはどちらかと言うと狭めで丸みがあるので、フィットする感じがありました。

衍龍が愛用する”MAROON CUSTOM 666”は、バックアイ・バールとレジンによるボディー・トップの模様がインパクト大。シンプルさを狙った設計だが、ボタン式のキル・スイッチが搭載されている辺りはこだわりの1つ

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▲1ハムバッカーという非常に潔い仕様。採用されているディマジオ“DP207 D Sonic”は、チューン・ダウン時の低音のダブつきや輪郭の不鮮明さを解消したモデルだ。

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[SPECIFICATIONS]

●ボディ:ハード・メイプル(トップ)

                    マホガニー(バック)

●ネック:ハード・メイプル

●フィンガーボード:パーフェロー

●ジョイント:ボルト・オン

●フレット数:24

●スケール:666mm(26.2インチ)

●ペグ:ゴトー“SG381-07MGT”

●ブリッジ&テイルピース:

 ゴトー“GE103B-T”&“GE101Z”

●ピックアップ:ディマジオ“DP207 D                                               Sonic”(ブリッジ)

●コントロール:ヴォリューム、

                                トーン(ダミー)

●定価:オープン・プライス

   (市場想定税別価格¥480,000)

▲ペグはエレクトリック・ギターとしては珍しい、ギアが露出したオープン・タイプを採用。ハウジングが最小限で済むので、当然ヘッド全体の重量は軽くなる。

 「プロの現場の要求に耐えられる業務用ギター」がドラゴンフライのそもそもの設計思想だったが、もともと戸谷氏が想定していなかったラウド&ヘヴィ系アーティストに口コミでどんどん広まっていったというのは、時代の流れが容易に読み取れないことを示していて面白い。左ページの3本…“YELLOW DEVIL(MAROON CUSTOM 666)”と“ZONE-B”、それにd-flyの5弦ベース“CJ5”は、いずれも独自の設計で低音のマネージメントに切り込んだモデル。ここでメイン試奏したのは666mmスケールの“YELLOW DEVIL~”だが、先にこのスケールが生まれる発端ともなった“B6”と同様の792mmスケールを持つ“ZONE-B”の方から、改めて弾いてみることにした。

 通常のロング・スケールと比べれば144mmも長く、モデル名の通り6弦=B、つまり全弦2音半下げが推奨されている。この次元のヘヴィ・チューニングは特に歪ませると音程が不明瞭になりがちだが、本機のピッチは極めてクリアで、かなり歪ませても基音の振動が明確でパワフルだ。それでいて重低音はスッキリと整理されており、太さがありながら抜けもある。チューン・ダウン時のサウンドの悩みを完全解消していると言えるが、指が短い人だとロー・ポジションのフレット間の広さはキツいかもしれない。ただ例えばベースならミディアム・スケールより短いぐらいなので、要は慣れの問題だろう。通常のギターとは別の楽器と捉えて、少し練習し直す姿勢があれば無問題だ。

 …という予備知識をふまえて、改めて“YELLOW DEVIL~”の試奏を開始。これはドラゴンフライのコアなユーザーとして知られるPABLOのシグネチュア・モデルで、おそらく彼をイメージしたであろうイラストが強烈に派手だが、仕様は1ハムバッカー+1ヴォリューム(トーン・ノブはダミー)というかなりのシンプルさだ。まず手に取った瞬間、思わずヒョイッと上へ持ち上げてしまうほどの軽さには目を疑うこと必至。“MAROON”はそもそもボディーの幅に比べると厚みが控えめだが、この軽量感は材の選定の段階からこだわっているおかげに違いない。そしてネックに触れると、改めて666mmスケールの弾きやすさに感服してしまう(直前に792mmを触っていることもあって)。シェイプがかなり細身で、ラウド系で6弦にこだわるギタリストなら嫌う人はいないはず。

 フラット・トップのソリッド・ボディー、材はマホガニー・バック&薄めのメイプル・トップということで、試奏前は低音域がタイトで中音域が突き出たトーンを想像していた。が、アンプから音を出した瞬間に思わず声が出てしまうほど、全帯域の伸びやかさに驚かされた。もちろん中音域も高音域もたっぷりなのだが、それらの印象を軽く吹き飛ばすほど重低音がパワフルで、「そんなバカな!」と思ってしまう次元。そしてそのサウンドを裏付けるかのように、ボディー・バックから腹にとてつもない共鳴振動が伝わってくる。搭載されているディマジオ“D Sonic”はもともとゲインの高いピックアップだが、このあふれんばかりの共鳴でさらにパワー・アップしており、ハーモニクス類が実に簡単に出てくれる。ピッキングの強弱にダイナミックに反映されるトーンも素晴らしく、レスポンスが超高速だ。また先述の通りこのモデルはピックアップがブリッジ・ポジションのみだが、弾き方で音色が心地よく変化するため、ネック・ポジションの不在を寂しく思うことはなかった。

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ヤングギター誌 2020年8月号掲載

dragofly

進化を続けるオリジナリティ   前編

2021.06

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